オクテット

 ちょっと山形駅前をぶらつく時間ができたので、ほんとうに久しぶり、たぶん10年以上ぶりに山形駅前のジャズ喫茶「オクテット」に行ってきました。マスターの相澤さんが高齢になり、継承者を探しているがその専門性ゆえになかなか見つからないという新聞記事を見て、〝ああ、相澤さんがまだ店に出ているんだ〟と思い、懐かしくなったからです。というのも、だいぶ以前ですが、店を訪れたり覗いたりしたとき別の方が店にいたので。
 珈琲の味は相変わらずで私の口には合いませんが、雰囲気は変わらず、私が知る限り40年くらい前のままです。この日はミルト・ジャクソンのビブラフォンの演奏曲が流れていました。久しぶりにレコードの音色を聴きました。レコードは良いですね。

 この日は長い髪の女性店員に相澤さんがいろいろ説明していました。品出しのことだけでなく、レコードやアーティストの説明もしているようだったので、この人を後継者にするのかな・・・と思いました。
 「いつもまでもあると思うな店と街」という一行を詩に入れたことがありますが、まさにそのとおり。時は残酷です。駅前の飲み屋街の見慣れた店も無くなっていました。「修ちゃんラーメン」「焼肉大雅」それに「クワイエット・カフェ」など、私はあまり入ったことはなかったのですが、寂しいです。

 さて、『非出世系県庁マンのブルース』へのコメントを紹介します。

 「『じぶんは周りの相対的多数派の職員より、ほんの少しだけ与えられた任務に対して積極的であり、ちょっとだけ当為を重んじる傾向に過ぎない。・・・何人もが1メートルも馴致の側に偏って立っているとしたら、シーソー全体のバランスを取るためには、じぶんがもっともっと、例えば5メートルほども当為の側に偏らなければならない。・・・』ということばは、著者が『県庁マン』としての自分の立ち位置を要約的に捉えたことだと思われ、とりわけ印象に残りました。
 読んでいる途中で、県職員として著者が仕事に取り組む姿勢・態度は、詩人としてものごとを捉え表現する、その捉え方、表現のし方と共通している、と何度も思いました。〝厳しい〟、〝甘くない〟、〝歓心を買おうとしない〟、〝硬質なことばの使い方〟といった点において、です。」

 前段はまさにそこを読み取っていただいて幸いです。
 後段はそういう印象を与えていることは否めませんが、詩は〝大甘で〟〝歓心を買おうとして外連味たっぷり〟に表現しているつもりでした。
 仕事の面でも、じぶんでじぶんを仕事に厳しい人間だと思ったことは一度もありません(むしろ本当に「ジコチュー」で「植木等」的だったと思います)が、もしそういうふうに見えるとすれば、それは周りが(たぶん評者が関係してきた公務員たちが)相対的に緩く見えるからだと思います。
 公務員は大半が真面目で真摯な方です。ただ、筆者に言わせると真摯さの方向性や真面目さの楽しみ方が分からないように見えるのです。

 いま山形県内の書店で少しずつ売れているようです。
 八文字屋書店各店舗、小松書店本店、くまざわ書店さんなど、2回目の配本になりました。八文字屋北店さんでは、最初の配本のときは郷土図書の棚でしたが、今度は文芸・教養新刊書のコーナーに平積みされていました。
 また、県外の公共図書館や県内の高校の図書館からの注文もぽつぽつ来ています。
 図書館の方には個人の方と同じように直接高安書房に注文いただきたいのですが(直接購入だと消費税がかかりません)、支払い手続きが面倒な場合は取引のある書店に取寄せ依頼してください。
 山形県内の学校の場合は「山形教育用品株式会社」さんをご利用されてると思いますので、そちらでも対応してくださるようです。
 山形県内の書店の方は、もし「山形県教科書供給所」さんと取引がありましたら、そちらへ発注してください。もちろん、高安書房へ直接注文いただけます。
 先日、TOHANさんから注文が来ましたが、返事の電話で「大手取次との取引は今のところしていなので、どのようにお付き合いしたらいいかわからないのですが・・・」と申し上げたら、「じゃあいいです」で終わってしまいました。
 本当は取引していただきたいのですが、たぶん、小社のようなミニマム出版社と1冊ごとの取引はしていただけないと思います。